2025年11月20日
Wiley Post

ワイリー・ポスト( 1898–1935)は、アメリカ航空史を語る上で欠かせない、世界初の単独世界一周飛行を成功させた飛行家であり、同時に高高度飛行・与圧スーツ開発の先駆者としても知られています。
冒険家、技術者、そして実験的パイロットという三つの顔を持つ人物です。
■ 1. 世界一周飛行のパイオニア
● 1931年:世界最速(当時)で世界一周飛行
ポストは航法士のハロルド・ゲイティとともにロッキード「ウィニー・メイ号」で世界一周を達成。
8日15時間51分という驚異的な記録でした。
● 1933年:単独で世界一周
さらに2年後、ポストは単独で世界一周した史上初の人物となります。
この記録は当時の航空界に衝撃を与え、彼の名声を決定づけました。
■ 2. 航空技術の革新に貢献
ポストは単なる冒険家ではなく、航空技術の発展にも大きな役割を果たしました。
● 高高度飛行の研究
大気が薄い高高度では、より速く飛ぶことができることに着目。
そのため、当時存在しなかった“宇宙服の原型”ともいえる世界初の実用的な与圧スーツを開発しました。
与圧スーツの特徴
- 高度15,000m級でも飛行可能
- ゴムとファブリックを組み合わせた三層構造
- 球面ヘルメットにガラス製のフェイスプレート
これにより、航空機の高高度性能の可能性を大きく広げました。
■ 3. ジェット気流の発見に関係
ポストは高高度飛行の実験中に、強い偏西風(ジェット気流)を観測した最初期の人物とされています。
記録された速度が通常より極端に速かったことから、当時まだ知られていなかったジェット気流の存在を示唆しました。
■ 4. 悲劇的な最期
1935年、映画俳優・コメディアンのウィル・ロジャースとともにアラスカを飛行中、悪天候による事故で墜落し、ポストは37歳で亡くなりました。